お久しぶりです。ロビットの汎用エンジニア、望月です。
12月までは暖かい日もありましたが、1月はめっきり冷え込みますね。
天候が良い日が続いているのが唯一の救いです。
ちなみに皆さんは「寒い」言えば何を思い浮かべますか?
・コタツ、
・インフルエンザ、
・おやじギャグ、
・手編みのセーター・・・はないですね、はい。
ロビットのハード陣はこの樹脂ブロックのことを思い浮かべます。
↑ 備蓄してある樹脂たち。 (左:ABS、右:POM)
人間も寒いと縮こみますよね。それと同じで樹脂たちも収縮します。
まさに温度変化は樹脂の天敵なのです。
さて、今回はロビットで切削加工をどのようにやっているのか、実際に部品を作りながらご紹介します。
さっそく空調をつけて工場を暖めておきましょう。
【加工術:その一】 CAM作成 ※ロビット用語でキャムる
まずCADソフトで形状・機構を設計し、そのあとロボドリルで樹脂や金属から部品を削り出すという流れがロビットの基本フローです。
今回削り出す部品はこれです!
↑ 平野が設計した何か。 (材質はPOM樹脂だそうです)
この部品を削り出すためにロボドリルをどう動かせばいいか、CAM(Computer Aided Manufacturing)と呼ばれるソフトを使って動作パスをプログラミングしていきます。
ロビットではFusion 360というCAMソフトを使っています。
このときあらかじめ設計された部品には外枠と、外枠と部品をつなげておくタブといわれるものをCADデータに追加しておきます。
このタブは加工して周囲の部材がなくなってきたときに、部品自体が動かないようにするためのものです。
そしてCAMソフトで動作パスが作れたら、GコードやMコードで書かれたプログラムを出力します。
(GコードとMコードだけです。Fはないので安心です。)
↑ 出来上がった動作パスとプログラム。
このGコードは手でも書いたりするので、普通は人が読むことができるのですが、Fusion360の場合は自動で生成されるので、中身を読んでもどんな動きをするのかほぼ分かりません。
その代わり動作パスのシミュレーション機能がついているので、動きに問題がないか文字を読むよりも視覚的に確認できます。
【加工術:その二】 フライス加工
今回作る部品はPOM樹脂から削り出しますが、ロビットで備蓄してある樹脂のほとんどはフライスされていない(面が平らになっていない)のと、温度変化で伸縮してしまっている可能性があるので、はじめに部材の面出しを行います。
加工術:その一と同様CAMでロボドリルの動作パスを作っておきます。
↑ ただまっすぐ進む簡単なパス。 (浮いているのは工具です・・・いかつい。)
そして作ったプログラムのデータをロボドリルに覚えさせ、さっそく面出しをしていきます。
まず部材に両面テープを貼り付け、ロボドリルの中にある捨て板を張ったテーブルの上に設置します。
↑ 部材を設置した様子。面出しだとテープはこのくらいで十分。
あとはロボドリルでプログラムを呼び出して実行するだけです。
プログラムを作って設置すれば勝手に削ってくれます。なんて簡単なのでしょう!
↑ 面出しの様子。正面フライスと呼ばれる面出し専用の工具で削ります。
いやー切り粉が飛び散るのは何度見てもあきないですね。ずっと見続けたくなります。
そして面出しを行うと表面が「てかてかピカピカつるつる」になります。
↑ 面出し後の部材。なんとも神々しい。
面出しをすると厚みが少し変わるので、それに合わせて部品切削用のCAMは修正しておきます。
【加工術:その三】 The 切!削!
これで切削の準備が整いました。
つるぴかになった部材をもう一度テーブルに設置し、作っておいたプログラムを読み込ませて切削を開始します。
ちなみに自分でロボドリルを動かすプログラムを作っていても、工具が部材に突っ込まないか毎回不安になります。
ソフト上でシミュレーションをして完璧だと思っていても、部材の厚みを間違えていたり、切削に必要な工具が装着されていなかったりと、様々な理由で失敗することがあるので、彫りはじめはスピードを落として慎重にやります。
↑ 切削しているときはこんな感じで切り粉が飛び散ります。
今回の部品ですが、設計段階の画像でも分かる人もいるかもしれませんが、表と裏の両面から彫ってあげないといけません。
そこで表面を彫るときに捨て板まで貫通する穴をあけておいて、その穴に平行ピンと呼ばれるまっすぐな金属棒を差し込みます。
↑ 捨て板にあけた穴に平行ピンを立たせた様子
そしてその平行ピンに合わせるようにひっくり返した部材をセットします。
こうすることで、彫る位置が表面と裏面で共通になるので位置ずれなく両面を彫ることができます。
↑ 裏面を掘っている様子。
裏面を彫り終わったら部材を取り外して切削完了です!
【切削術:その四】 測定と評価
切削が終わったら出来上がった部品の精度が出ているか確認します。
測定には・・・でましたMONOTAROノギス!これを使います。
↑ 削り出した部品とMONOTAROノギス
測定した結果問題なさそうなので、これで作業は終了です。
(部材から部品を取り外す際に少し掛けてしまったのは秘密です)
【まとめ】
ロビットでの切削加工の基本的な流れをご紹介しました。
同じ切削を行う装置でももっと小さい卓上NCと呼ばれるものもありますが、ロボドリルは回転数も高かったり、ツールを21個も取り付けておけたりと、利点が山ほどあります。
使い方の流れ自体は卓上NCともあまり変わらないので、興味のあるかたは是非導にゅ・・・。
いや、利点が多い分欠点もあると思うので、用途次第ですね。
ではまた。