Robit blog

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電子回路のプロトタイピングを効率化する話

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こんにちは。ロビットの新井です。

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします!

突然ですが、皆様は電子回路のプロトタイプを作るときはどのようにされていますか?

ブレッドボードやユニバーサル基板を用いる方法、プリント基板を発注してそれに部品を実装する方法、エッチングで基板を作ってそこに実装していく方法などなど、色々な手段があるかと思います。

しかしながら、ブレッドボードやユニバーサル基板だと配線を作るのが大変だったり、ヒューマンエラーが原因で誤作動を起こしてしまったり、プロトタイプを複数作る事になった場合に量産性が悪いといった問題があります。プリント基板を発注して作るのが品質的には最高ですが、どうしても時間がかかったり、早く作ろうとするとお金がかかってしまったりと、スピード感を出してプロジェクトを進めていくにあたりベンチャーには負担になることも少なくありません。

そこでロビットではユニバーサル基板とプリント基板の中間のような存在である切削基板を作ってプロトタイプ用の基板をよく作ります。切削基板だと配線はデータだけ作ってしまえば自動でできますし、数十分あれば出来るので、ジャンプワイヤーだらけのグロテスクな回路とにらめっこすることも、プリント基板が来なくてヤキモキすることもありません

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以前作った切削基板

また、ある程度の段階から電子ショップで売っているような扱いやすい電子部品ではなく量産を前提に選定した部品を扱うことになりますが、この手の部品は往々にして小さくほとんどが表面実装部品なので、そういった部品も切削基板だとプリント基板同様に扱えるのもいいところです。

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こんなに大きさは違えど、同一の容量&種類のコンデンサ。実は青い部分を開くと中にチップコンデンサが入っているとか・・・。

これだけでもプロトタイプ用回路の作成が格段に早くなりましたが、人間とは業が深いもので次から次へと不満が見えてきます。例えば、たくさんの種類のICやチップコンデンサを実装する必要がある場合に、毎回リールから1個ずつ取っては実装、というのを繰り返すのは非常に手間がかかります。0.1uFみたいなよく使うものは基板によっては10個以上乗せることもありますが、実装漏れがないように端っこから部品を実装していくと何度も何度も0.1uFのリールからチップを取り出す、という動作を繰り返す羽目に・・・。かといって事前に全部出してしまうと外観からは容量がわからないので、他の容量のチップコンデンサと混ざってしまうと大変なことになってしまう・・・といった不満があります。

ということで、前置きが長くなりましたが、部品を実装するときに部品を簡単に分類でき、必要な個数だけ事前に出しておくことが出来るようなツールを作って利用しているのでご紹介したいと思います。

使い方は簡単で、回路CADから出力したBOM(部品表)を入力すると、使用する個数に応じて大きさが変わる円が描画されるので、それを印刷してその円の中に部品をおいていくだけです。

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こんな感じに出力されます

この円の中に部品実装を始める前に全部品を予め置いてから部品実装を始めると部品を都度探さなくていいので、部品実装だけに集中出来てとても快適です。実装としてはBOMを正規表現で解析して個数やパーツ名を抽出し、それに応じてCanvasに円と文字を書くだけの超シンプルなものです。

HTML5を使うと数時間もあればこのくらいのものはぱぱっとできちゃいます。BOMを解析する部分の正規表現等が得意な方であれば1時間もかからないかもしれません。電子回路とは遠い技術にも見えるかもしれませんが、描画を含めて適当なものをぱぱっと作るのはHTML5は圧倒的に早く、ちょっと他の技術にも手を伸ばすだけで作業効率が大きく改善出来ることもあるので、ぜひ様々な技術を試してみてください。

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