こんにちは。ロビットの高橋です。9/20現在、二子玉川 蔦谷家電さんとビックカメラさんにて、めざましカーテン mornin'の販売と展示を行っております。
初めての実店舗での販売。
数々の人気家電の中から、どうすればお客さんに興味を持ってもらえるのか・・・。
お客さんに手に取ってもらうべく、できることは全てやろうと思った私たちは、
表参道での展示に続いてまたもや、展示物を1から手作りしました!
というのも、以前ソフトバンク表参道店での展示物を製作した際、
- 製造途中での気づきをその後の作業に反映することができる
- 外注するのと比べて圧倒的に早い&安い
などのメリットを感じたのですが、今回もぎりぎりの納期で高品質なものを作りたかったため、自作することにした次第です。
今回はその展示物の制作の流れを公開しようと思います。
量販店の展示物がどのように作られているか気になる人や、 実際にこれから作らなくてはいけないという人がもしいれば、その1例として是非参考にしてください。
1. デザイン・設計
まずはどのような展示物にしたいかデザインします。
ペーパーモデルです。スチレンボードで立体に起こし、細かなサイズ感を検証します。
続いてそれを元に3DCADで設計を行います。
以下、部品データの1部です。
ベース部分
側面部分
ここで設計時のポイントをひとつ。
こういった一点物を設計する際にロビットで頻繁に使用している部品があります。
それがこちらの黄銅垂直取付スペーサーです。
廣杉計器製。サイズは3種類。
立体物を作る際、部品同士を垂直に組み立てる機会は非常に多いです。
この垂直スペーサーを使用すれば、少ない部品数で簡単に部品同士を組み付けることができます。
今回も大いに活用してます。便利。
こちらのスペーサーは廣杉計器という会社の製品なのですが、他にも一点物を作る上で便利なスペーサーが揃っています。ものづくりが好きな人は是非ラインナップを覗いてみてください。
2. 木を切り出す
設計が終わったので、次は製造に入ります。
今回使用した材料は「アクリル板」「MDF」「ラジアタパイン集成材」の3種類です。
MDFについては前回の記事で紹介しましたが、ラジアタパイン集成材は初登場です。
以下特徴から、今回の展示物に相性がいいと判断しました。
- 天然の木目を活かすことができる
- 加工性が良い
- 入手製が良く、低価格
本棚やカウンターの製作にも用いられている人気の木材です。
ちなみに集成材というのは木材の繊維が異なった方向で接着されたもので、
木材特有の収縮などの動きがある程度矯正されているという特徴があります。
スライド丸ノコで大きな形状を切り出します
スライド丸ノコで切りにくい部材はジグソーで
以前はのこぎりを使っていたのですが、
我々インドア派には重労働すぎたので、途中から文明の利器に頼りはじめました。
特にスライド丸ノコは木材以外も切り出せますし、
切り口もきれいなので、DIY好きな人は持っていて損は無いと思います。
(もちろん指も綺麗に切れるので気を付けましょう。)
3. 削り出す

ロビットの工場スペースです。
自慢の機材が並んでいます。
今回は中央奥の「ROBODRILL(FUNUC製)」で、切り出した部材を細かく加工していきます。
ROBODRILLの内部。工具が大量にセットされています。
このROBODRILL、ドリルやエンドミルなどのツールの種類や加工手順、切削パスを入力してあげると、その通りに自動で材料を加工してくれる優れものです。実はiPhoneの筐体もこのROBODRILLで製造されています!ロビットでも立体物を作り出す時にはいつもお世話になってます。
まずはROBODRILLを操作するプログラムを、CAMというソフトを使って作成します。
CADで用意した3Dデータはあくまで形状のデータであり、それを実際にどのように削り出して作っていくかのデータは別途CAMで用意する必要があります。
これは自動生成することも可能ですが、部材の特性や刃物の耐久性、許容される寸法の誤差などを考えつつ、最終的には人が工具の順序やパスを判断する必要があります。
以下、今回作成したツールパスのシミュレーション動画です。
このデータをROBODRILLに入力して、
切り出した部材をセットし、加工を開始。
そして出来上がったのがこちら。
バリがすごいです(ヤスリがけすればきれいになります)
実は木材を削り出すのは今回が初めての試み。
いつもは金属や樹脂を削っています。
写真のものはこう見えてもうまく削れた成功品なのですが、
ここまで仕上げるまでに何度か失敗してしまいました・・・。
うまくいかなかった理由は主に2つ
理由1. 木工用エンドミルを使用しなかった
エンドミルとは材料を削るために用いる工具です。木工用のエンドミルは樹脂や金属用のエンドミルよりも多くの切子(削った時に出るゴミ)を排出できるような仕組みになっています。しかし今回私たちは手元に木工用エンドミルが無く、また調達も間に合わなかったので、別のエンドミルを使用しました。結果、切子の排出が間に合わず、切子がエンドミルに残ってしまい、残った切子が材料を傷つけてしまったり、摩擦で燃えそうになりました(実際に何度か焦げた)。最初のうちは目を離せ無い状態でした・・・。
理由2. 湿気で変形する
ちょうど加工していた時期が雨続きで、湿度が高い時期でした。そのため木材が湿気により変形することも。削り出す瞬間では思い通りの加工ができたとしても、時間が経つことで変形してしまったり、また加工中に変形してしまって部材がずれてしまったなど、想定外トラブルがたくさんありました。
以上のように、なかなか一筋縄でいかなかった木材の削り出しですが、
そんな苦難を乗り越えて木材の部品を製作完了。
樹脂部品もあるので、そちらもROBODRILLにて切削
以上、全てROBODRILLで作った部品です
ここまでで、全部品の削り出しが完了。
写真を見ると分かりますが、結構な部品量です。
この量をたった1日で作り上げたROBODRILLさんさすがです。
次は電気回路の製作と組み立てに入るのですが、
ここから先もまだまだ長いので、続きは後日!
中間まとめ
木材加工の際には火事に気を付けましょう!
私たちも近くに置くための消化器を購入しました。
またこういった設計や加工のご相談も随時受け付けております。
つくりたいものがあるものの、ノウハウや機材が無いという方、
是非お気軽にご連絡ください!
尚、弊社製品「めざましカーテン mornin’」についての情報は以下のページからご覧いただけます。